「騙し討ちのような真似はしないから安心して?
 ちゃんと貴女の元へ五体無事で、オスカーは
帰るから」

 パパンのグレンフォール公爵の事はともかく、
アビゲイルの事は信用している。


「大丈夫、こんな事は直ぐにアーノルドとオスカーが片付けるわ。
 今度会う時は中学生みたいなダブルデートしましょうね」

 

 そう言ってアビゲイルは、少し曲がっていたロザリンドの濃紺のネクタイを直してあげた。




 放課後、校舎出入口で侍女のルシルと合流する前にオスカーに会いたくて、彼を探してきょろきょろと辺りを見回していたロザリンドに、ルシルが駆け寄ってきた。


「申し訳ございません!お嬢様!」

 いつもは落ち着いている彼女らしくない様子の
ルシルだった。


「どうしたの?」

「それが、あの、護衛のひと、なんですけど!」