「そうよ、パパンだったり、パピィだったり、
どんな風に呼んでも返事してくれるわ。
 本当に優しくて、貴女には感謝してるの」

「……」

 何度かお見かけした厳格そうに見えるグレンフォール公爵と、愛娘にパピィと呼ばれてデレている父親の姿はうまく重ならないけれど。


 女性には絶対に手を出さないこの世界の男性像は、シュウジが反面教師になっているので、私じゃなくて彼のお陰なんですけど、とロザリンドは言いたかったが……
 
 アビゲイルが感謝していると言うのなら、素直に受け取ろう。


「だから殿下と私がお願いしたら、王太子派は父が抑えてくれると思うわ。
 後は中立派にすり寄ってきそうな元第2王子派なんだけど……
 ウェズリーのラザフォードはどんな感じなの?」

「ラザフォード侯爵家は元々は中立派なんです。
 ウェズリーをランドール殿下の側近にと、
クロエ妃から指名されたので、そうなっただけ
なんです」

「じゃあ後はクロエ妃の実家マクブライト侯爵家一族とその子分、ってことね……
 怪しい動きをしそうな人間を、ウチの調査部にピックアップして貰いましょう」