それでアーノルドに転生を告白する勇気が出てきた。
 祭りに出かけさせないように、彼とは夕方に会う約束だけはしていたけれど、あやふやな記憶で
それがうまく行くのかは不安しかなかった。


「皆が物語通りに進むのなら、前世の記憶は必要ない、と神様は判断されていたのでしょうか?」

「私はそう受け取ったわ……
 でも、これからはそれが必要になる。
 それで私達に記憶を返した、と思えるの」

「……」


 前世の記憶が必要になる事態を引き起こしたのは自分だ……
 ロザリンドの自己嫌悪の表情に気付き、アビゲイルは話題を変えた。


「貴女のお陰で、この世界の男性は皆様女性に
お優しいでしょ?
 ああ見えてウチのパパンもそうなの。
 お母様や私にはデレデレなの」

「ぱ、パパンって……グレンフォール公爵の事ですか?」