昼休み、ロザリンドとアビゲイルは向かい合って特別ランチを食べていた。
 特別と名付けられるだけあって、軽いコース仕立てのその料理を注文出来るのは、王族と公爵家のみに許された特権だった。


 そんな彼等も普段はこんなランチはしない。
 現国王陛下も学生の時は食堂の常連であった。  


「これが最初で最後の、特別ランチですねっ」

 あえて浮わついた調子で、ロザリンドははしゃいで見せた。
『一緒にランチを』と誘われて、普通に食堂だと思い込んでいた。
 まさか、王族専用室で特別ランチだなんて……

 僅か2時間前にはこの部屋で。
 オスカーとアビゲイルが密談していたとは、想像もしていないロザリンドだった。