オスカーがミカミであるか、確証はなかったが。
 そう呼び掛けて彼の反応で判断すればいい、と
アビゲイルは思いきって自分から手の内をさらした。


 状況が平和であれば、オスカーとロザリンドが
お互い前世を言い出せなくて、悶々としているのを眺めているのも一興だったが……

 昨夜からの事態の急変に、そんな悠長にはしていられない、と決意したアビゲイルだった。



果たして。
『ミカミさん』と言われたオスカーの顔は見物
だった。
 見目麗しく、滅多なことでは感情を見せない
クールな貴公子オスカー・オブライエン・コルテスがする表情ではなかった。



 転生したとわかった日からミカミが必死になって作り上げてきたオスカーの仮面が崩れた瞬間だった。