その前に『逃がした大きな魚』ロザリンドは
オスカーのものだ、と周知させたかった。

 今日1日の彼の行動で生徒達から話を聞いた保護者はそれを知ることになる。



 王家に対してもそうだ。
 王弟となっても、俺の結婚相手まで好きにはさせない。
 この血を何処かの国との政略結婚に利用されるのは真っ平だった。
 そう突きつけてやりたかった。


 だがそれだけでなく、学苑内の王太子派の生徒を牽制する目的もある。
 派閥の末端まではまだオスカーの話は届いていないかも知れないが、主だった貴族には通っているだろう。

 親から何かしらの知恵をつけられた彼等が1人でも、ロザリンドに何か仕出かそうものなら……
 全員必ず後悔させてやる。


 ロザリンドは『王弟殿下の特別』だと、知らしめたいオスカーだった。