昨日の夕方に出した手紙は無事にアビゲイルに届けられたようで。
 ロザリンドは教室に到着するなり、クラスメートの令嬢からメモを手渡された。


 本日、珍しく登校されたグレンフォール公爵令嬢が1年生の教室まで来て、コルテス侯爵令嬢に、と彼女にメモを渡して伝言を頼んだそうだ。


「アビゲイル様って本当にお美しくて、今日1日幸せな気分でいられそう。
 ロザリンド様の周りにはお美しい御方ばかりで羨ましいわ」


 護衛と侍女は校舎の中まで同行出来ない。
 父はさすがに護衛とふたりきりに出来ない、と
ロザリンドに侍女のルシルを付けて送り出したので、車内は些か狭く感じた。


 先に到着していたオスカーが玄関ホールで待っていてくれて、教室まで送ってくれた。

 祭りの前まではいくら義妹を大切にしていてもそこまで甘くなかった義兄を、クラスメートは不思議そうに見つめていた。