傍らに座っていたロザリンドが彼の左腕に触れた。
 義父から詳細を説明されても、何もしゃべらないオスカーを心配しているのだ。



 今ほど彼女にすがりたい、と思ったことはなかった。
 とてつもない孤独感と、その中で見つけた……
たったひとつの光。

 ロザリンドだけが彼の光だ。



 オスカーはかすれた声で、彼女に囁いた。


「俺は……この世界を作った神様を恨むよ」


 そう言って虚ろに笑うオスカーが泣いているように見えたロザリンドは。
 この世界を作り出したのが原作者の自分なのだという真実を隠し通すしかない、と改めて決意した。


 狡い女だと自分でもわかっている。
 だが、オスカーはこの世界を作ったホナミの事を恨む、と言った。

 ようやく彼に愛され始めたのだ。
 何があってもその関係は揺るがないなんて、確固たるものはまだ存在していない。



 義妹だから彼はいつも自分に優しかったが、その他の女性に対しては、一様に塩対応なのは知っている。
 そこがまたいいのだとファンも多く居るらしいが、ロザリンドはそんな風に彼から扱われるのには、耐えられない。