オスカーはオスカーで新たに告げられた事実に、驚きを隠せなかった。


 グレンジャーの義父、オルコット長官を実の父親だ、と思っていた。
 まさか本当の父親が前国王陛下だったとは。

 己は不倫の末の子供で、その存在を隠す為に田舎の伯爵家の三男にされたのだった。



 ミカミ的には有りがちな妥当な設定だと思う。
 もしホナミから話を聞いていたら賛成していただろう。

 だがオスカー当人としては、親子程の年の差がありながら、不倫の恋に走った両親に怒りを、穢らわしさを覚えた。

 コルテス侯爵が親切心や友情だけで養子縁組をしたのではない事も理解出来るが、やりきれない。


 義父は躊躇なく、オスカーを王家に差し出すのだ。
 実の伯父のカーネル・オルコットは甥のオスカーには赤の他人の振りをして、グレンジャーを孤児院から引き取って養父になった。
 ウェイン家の両親はクライド・オブライエン・コルテスが迎えに来るまで、代わりに育ててくれていただけ。
 莫大な遺産を残してくれているらしい前国王陛下も一度も会いに来てくれた事はない。



 俺の家族はどこにも居ない……
 昨日会ったダンカンを思い出した。

 保護魔法が無ければ死んでしまったかも知れないけれど、幼い嫉妬を遠慮なくぶつけてくれた兄が懐かしかった。

 彼は今でも、オスカーを自分の弟だと信じてくれているのだろうか。