デビュタントで現れた15歳のオスカーは髪を魔法で黒く変えていたが、その瞳は紛れもなく王家の紫であったし、その顔立ちも前国王陛下に良く似ていて。

 髪色を生来の金髪に戻したら、王国外なら彼を
王太子アーノルドの弟の第2王子と紹介しても、信じる者は多数出るだろう、と思われる程だった。


 ローレンスは王位継承権を保持する直系が王太子のみになったので、迎える予定になかったオスカーを、急遽王弟と認める事にしたのだ。



「なんて……自分勝手な」

「王族なんて皆そうだ。
 3か月後の貴族議会で承認を得たい、と根回しを始められるそうだ」

「……」

「前国王陛下がオスカー王弟殿下に遺された資産の総額を教えてくださったが、驚いたよ」


 既にコルテス侯爵は、義理の息子オスカーに王弟殿下と敬称を付けた。

 ローレンスは渡すつもりがなかったかも知れない実の父親からの遺産をエサに、オスカーをその気にさせようとでも言うのか。



「明日からオスカー王弟殿下には護衛の騎士が付く」

「護衛の……それは」

 アメリアの恐れにクライドは頷いた。