原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!

 夫婦の部屋で彼の着替えを手伝っていたアメリアにクライドは食事はいらない、と言った。


「陛下から急に夕食にお招き頂いた」

「急にですか? お珍しい事……」


 学生の頃は友人として、国王陛下とは毎日学苑の食堂で昼食を共にしていたが、卒業後はさすがにそのような事はなかったので、聞かされたアメリアは夫のその表情から、良くないことのように感じた。



「……学苑を卒業したら、正式に王族として迎えたい、と言われた」

「正式に、という事は……」

「王弟だ、と国内外に触れを出して。
 オスカー・レイ・エリオットの名前に戻す、という事だ」

「……」


 母親の王太后陛下がご存命だった時には、オスカーの存在を消したくてオブライエン家の養子とする事に安堵の涙を流された癖に。

 立派に成長したオスカーを、デビュタントで初めて見た時の陛下、いやローレンスの顔は見物だった。



 当時のローレンスは真面目な王太子アーノルドと違い、わずか15歳でありながら色事を覚え始めた第2王子のランドールに頭を悩ませていた。

 側妃クロエ妃が産んだランドールの瞳の色が、王家の色である紫ではなく蒼いことを、彼の行いに併せてその血筋を疑う者達まで出始めていたのだ。