コルテス侯爵家に戻ったオスカーとロザリンドは早速両親に、今日の事を報告するつもりだったのだが。

 父がまだ王城から戻っていなかった。
 家族揃って夕食を、がモットーのコルテス侯爵にしては珍しい事だった。


 今夜は城下で祭りが開催されていて、人出も多い。
 侯爵家の邸宅のある貴族エリアには祭りの影響はないと思われていたが、通行止めや一方通行に、本日のみ変更になった箇所もあり、馬車の進行がスムーズではないのかも知れない。



「お先に食事に致しましょうか」

 夫の帰りを随分と待ったが、アメリアは先に3人で夕食を摂る事にした。
 昼間、子供達は祭りの見物へ出掛けたので昼食はひとりで食べた。

 オスカーが、ロザリンドに付き添わせた侍女を帰して、珍しくふたりだけで行動しようとしたのは何故なのか、聞いてみようと思っていた。