薄めに頼んだ己の果実酒のソーダ割りのグラスを、全員のグラスに当てながら。
 ご機嫌にニコニコ笑っているのは、オスカーの
実兄(と、されている) ウェイン家次男のダンカンだ。


「そおぉか、皆オスカーの友達か!
 じゃあ、昼メシ奢ってやるから一緒に行くか!」


 そう言ってダンカンは皆を引き連れて、例のホテルバーモントのレストランに、弟とその友人一行を案内した。

 辺境騎士団の定宿だと説明されて、ロザリンドの肘を引っ張ったウェズリーの目が
『ここに入るの? 大丈夫か?』と、訴えてきたように見えたが、仕方ないから小さく頷いた。



 ダンカンの様子からは、全員まとめて薬漬けにするつもりか?
 ……とは、全然見えなくて。




 弟オスカーを階段から突き落として、コルテス侯爵を激怒させ、辺境騎士団に放り込まれたダンカンは脱走して、祭りの夜に弟を呼び出して媚薬を盛る……

 復讐の焔をその青い瞳に宿した男、のキャラなのに。
 このガハハな明るさは何なんだ?と混乱しているロザリンドだ。