ロザリンドは手近に落ちていた枝を拾い上げた。 
 細くて薪にもならないから捨てられた枝だろうけれど、素手よりは武器になる。

 幸い、ダンカンはオスカーの方を向いて何事か話していて、背後から近付いている自分には気付いていない。

 人を後から襲ったことなどないけれど、オスカーを守る為なら出来る!
 私は出来る!


 枝を握りしめて振りかぶろうとした時。
 ロザリンドに気が付いたオスカーが叫んだ。


「やめろ! ロージー!」


 ◇◇◇


 ウェズリーの背中を嫌な感じの冷たい汗が流れた。
 オスカー達の方へ行き、後に怪しい男が居ることを伝えなくては、と足を早めるが。

 祭りの人波でなかなか前へ進めなかった。
 ミシェルが少し遅れて付いてきているが、彼女の足に合わせることは出来ない。


 何か悪いことが起きそうだ、頼むから俺を通してくれ!
 追い抜きざま何人かとぶつかり舌打ちをされたが、それに構うことなくウェズリーは進んだ。