何がなんだかわからなかったが、オスカーが自分から離れてひとりで路地に入ろうとしているのは分かった。
 そして何かから引き離そうとするように、先に
ひとりで行くように、と自分の肩を押した事も。



 オスカーと、離れるのが嫌で。
 オスカーを、失いそうで怖くて。
 ロザリンドは身を翻して、オスカーが消えた路地に自分も飛び込んだ。



 建物と建物の間の細い路地に入ると、そこを抜けた先に少し広くなった建物の裏手に出た。
 そこでロザリンドが目にしたのは、向かい合って立つふたりの男。



 それはオスカーと。
 対峙しているのは、彼の兄ダンカン。

 チカ先生が描いたダンカンとは雰囲気が違うが彼としか思えなかった。
 だから、オスカーは私をダンカンから引き離そうとして……


 今夜オスカーと会うはずのダンカンが何故昼間にこんな場所に現れたのか、全くわからなかったが。 
 確かなのはロザリンドの大切なオスカーを、ダンカンが傷付けようとしていることだ。