焼きリンゴの露店を覗いている時、不意にオスカーがより身体を密着させて来たので、ロザリンドは驚いた。

( 7ま、待って!
まだ人前よ、急にその気になっちゃったの?)


 とうとう!と、戸惑いながらも、オスカーもその気になっているなら、と応えようとしたロザリンドにオスカーは小さな声で囁いた。


「この裏に路地が見えるだろ?
 あそこへ入るから、いいね?」


 初めてを外で? あんな路地で?
 大好きなオスカーだが、私にはそんな趣味はない、とちゃんと言わないと……
 そう思った瞬間、握られた右手はほどかれて、肩を軽く押し出された。


「ロージーはこのまま、先に行って。
 広場のスワンの泉に後で行くから。
 待たせるかも知れないけれど、絶対に他の人が
沢山居るところから離れないで待ってるんだよ」

「オスカー、どうして?」

「絶対に何があっても迎えに行くから!
 俺を待ってて!」