多分招かれたお茶会で、どこかのご令嬢に教えられたのだろう。
 婚約者からも身内(自分の事だ) からも聞かされず、お茶会の話題に持ち出され軽く心配されて嗤われて。


 こんな風に倒れてしまうくらいのショックだったのだ。
 ウェズリーから聞かされる、と言うことは。


 だったら様子見などせず、俺の口から教えるべきだった。
 義妹は、きっと俺に対しても不信感を持っただろう。


 オスカーはオスカーで、思うところがあって。
 ウェズリーの浮気を静観していたのだが、
 ロザリンドの気持ちを図ってやれなかった自分に腹が立った。



 その時オスカーの膝の上で、ロザリンドが身動きをした。
 慌ててウェズリーがテーブルから水の入ったグラスを持ってくる。

 オスカーがそれを受け取ろうとしたが、ウェズリーはグラスを握りしめた。


「俺が口移しで飲ませようか?」

「早く渡せ!」

 一言で却下され、諦めたウェズリーが差し出したグラスを引ったくるように受け取り、オスカーはロザリンドの唇に水滴を垂らした。


「う……」

「もっと思いきって顔に水を掛けたら、直ぐに目を覚ますんじゃない?」

「お前、黙ってあっちに行ってろ!」