市井に下り、彼等のお祭りに混じるのだから、と貴族なら外出時必須アイテムの手袋は付けていない。
 素手での触れあいに自分の手汗が気になったが、祭りの混雑ではぐれないように、と握ってくれたオスカーの手を離すつもりはなかった。


 だが、それにしても。
 甘い、甘過ぎる!


 さっき買って貰って、ふたりで立ち食いしたクリームたっぷりのクレープよりも。
 ロザリンドに向けるオスカーの眼差しが、物言いが甘い……
 甘いが過ぎる!



 その上、繋いだ手を彼はいわゆる『恋人繋ぎ』にグレードアップさせた。
 とどめがさっきの
『クリーム付いてるけど、取ってあげるね』だ。


 いつものオスカーらしからぬ甘々三段階行動にロザリンドの心臓はバクバクしてきた。



 お義兄様、私からお誘いするのはアレですが。
 R18になってしまうけれど、このまま貴方を
何処かに連れ込んでも……いいですか?


 ロザリンド自身、まだ気付いてはいなかった。
 15歳の乙女らしからぬ、そんな不埒なことを考えている事こそ。

 自分の中に26歳のホナミの感覚や考え方が戻りつつあるのだ、と。