ミカミだったオスカーは誕生した夜に一度抱いて貰っただけの父親が、自分に保護魔法を施した
カーネル・オルコットだと思い込んでいた。

 前世で原作者のホナミと打合せを完了していた『乙花』の第2章序盤までは、そうなっていたからだ。



 だから中等部で父親(と思い込んでいる) のオルコット長官の息子のグレンジャーに自分から近づいて友人になった。
 彼に招かれてカーネルを紹介された時は、ホナミが決めていた性格より明るい人柄に惹かれたがやはり父は初対面のような振りをした。


 それが寂しくないと言えば嘘になるが、要らないことを口にして、上手くいっている彼等義理の
親子の間に波風をたてるつもりもなかった。


 何より彼はミカミだったから。
 オスカーの出生の秘密を自ら暴き立てる様な真似はしない。
 ホナミが決めたストーリー上の時が経てば、なるようになるだけ。