オルコット長官とはグレンジャーに誘われた彼の邸宅での外泊の際に何回か会っていて、立派な
肩書きを持つ彼の義父は大きな声で笑う気のいいおっさんだ。


 生さぬ仲の思春期の息子と父は、つまらない冗談を言い合い、些細な口喧嘩もする本当の親子に
見えた。
 それを見てオスカーは、コルテス侯爵と俺の関係とは違うのだ、と突きつけられたような気がした。


「貴方の赤い瞳も私は気にしていない、ってゆうけど。
 俺も気にしてない、って~、ゆわんけど」


 ミシェルから結構無神経な事を言われても、気のいいグレンジャーは笑っていたのだが、オスカーは
『あぁ、やっぱり俺はミシェル無理だ……』と。  

 彼女を恋人にする未来の事を想像して、気持ちが沈んだ。



 記憶が無いなりに色々と考えたのだが、今一つ
納得出来るようなプランが浮かぶことなく……

 とうとう仮面祭りの日を迎えてしまうオスカーだった。