高等部に進学してしばらくすると、入学してきたヒロインのミシェルと攻略対象者達の交流が始まった。

 グレンジャーも彼女が水を掛けられてびしょ濡れになったところに行き合わせて、風魔法で乾かしてあげてから親しくしていた。
 ストーリー的にはグレンジャーはミシェルを愛しているのだが、彼からはそんな感じは受けず、彼女に対してはあくまで友人のようなスタンスだった。


「お前が最近、仲がいいミシェル・フライ嬢は
どんなひとなんだ?」

「ミシェルってなぁ、悪い子やないけど……
 思い込みが激しい、ってゆうかな~」


 グレンジャーが話す時々出る生国の訛りは、ミカミの世界での関西弁のそれに近い。
 関西風イントネーションで話す陰気なはずの魔法科優等生は、オスカーの問いに笑いながら答えた。


「やたらと、今まで寂しかったよね?とか、
 お義父様と一度良く話してみたら?とか、勧めてくるからさぁ。
 なんやそれ、思い込み激しない?とか結構あるな~」

「グレン、親父殿と良くしゃべってんのに、な」

 グレンジャーが義父を『親父殿』と呼んでいるので、二人の会話ではオスカーもそう呼んでいる。