そう……美しくて頭が良くて、少し変わっているアビゲイル嬢。
 義父母に話すとややこしくなるだろうから教えなかったのだが、オスカーからしたらアビゲイルは変わった公爵令嬢だった。


 彼女は王太子殿下の婚約者なので、まあまあ登場回数の多いキャラだ。
 ありがちな悪役令嬢ではないが、ヒロインのライバルに該当する。

 それで、オスカーはアビゲイルを機会があれば
周囲に気付かれないように観察していたのだが、時々アビゲイル本人と目が合った。

 言葉など交わしたことは皆無に近かったが視線だけはよく合う公爵令嬢。
 オスカーはその容姿ゆえに女性から視線を向けられることに慣れていたが、アビゲイルのそれは
全く違う種類のものであるのは感じられた。


 ミシェルの様に嫌な印象は受けなかったが、
『見られていること』に理解が出来なくてモヤってはいた。