結果として、ロザリンドの縁談は潮を引くように撤回が相次いでいるが、これがもし一歩でもランドールの私室に連れ込まれた後に起こった出来事であったなら。
 純潔を散らされる前にあのランドールを退けていたとしてもロザリンドは傷物になった、と社交界で周知されていただろう。
 

 パワーゲームの本当の勝者は義父ではなく、ロザリンドだ、と。
 この世界のトップの王族に女性ながら抵抗した義妹のことを、誇らしく思うオスカーだった。



 しかし、だからと言って。
 彼女と結婚するのは、また違う話だ。

 ロザリンドの事は、決して嫌いではない。
 嫌いなわけがない……
 初めて会った日から可愛くて、思いきり甘やかしてやりたい……

 こんな気持ちを他の女性に対して持ったことはない。
 ……だが自分には。


 2週間後の仮面祭りの夜に、振りかかってくる厄災がある。
 それを取り除いて解決しない以上、何の約束も
出来ないのだ。