グレンフォール公爵家から戻ってきたロザリンドは、玄関ホールまで迎えに出たオスカーにも何も告げず、そのまま部屋に引きこもってしまった。



 今夜のディナーも要らない、とメイドに言付けをして、早々にベッドに入ってしまったらしい。


「貴方がすげなく断るから」

『お義兄様と結婚を』と言った義妹にオスカーが待ったをかけたことを義母は言っているのだ。



「……」

「貴方を責めてるんじゃないわ、それは誤解しないでね?
 妹として過ごしてきて、急にその気にならないのは仕方のないことですもの」


 ロザリンドがそう言い出した時は、義母だって
驚いて口をポカンと開いていたくせに。
 ところがしばらくすると、考えを切り替えて
『そうだ、そうなればオスカーもロージーも
ずっとこのウチに居る』と俄然乗り気になった。



「陛下はウチに借りがあるから、承認されやすいでしょうから」


 そして、気持ちが追い付いていない義父のお尻を叩いて、
『陛下に直ぐに婚約届けを出しましょう』と言い出した。