自分に対しての罵倒が止まらないロザリンドの
様子に、最初は目を見開いていたウェズリーだったが、さすがの彼も顔色が変わりつつあった。


 それでも、ロザリンドの口は止まらなかった。
 それで、今まで自分が言いたいことを我慢していたことにはじめて気付いた。

 別にこの婚約なんかなくなったっていい。
 言える時に全部吐き出さなくては、後から後悔
すると思った。



「相手に振られたから、ですって?
 良くも私にその話をする気になったわね。
 それを聞いて私が喜ぶとでも思っているの?」

「なあ、ロージー……」

「私は知っていたけれど、ずっと我慢してたの。
貴方の事を愛してるから我慢してた訳じゃない。
 私から愛されていると思っていたのなら、それは思い上がりと言うものよ」

「そんなことは思ってないけど!
 ロージー、もうそろそろその辺でやめろ」

「やめないわよ、命令なんかしないでよ」

「命令? 違う、これは警告して……」


 脅すようにウェズリーが人差し指を突きつけてくる。
 目の前に突き出された指に、抑えられない怒りが沸き上がった。


「指さすなよ、バカ」