あのホナミは『怒られる』事に怯えて、私にさえ言いたいことが言えないひとだったけれど、
ロザリンドはランドールに立ち向かった。

 オスカーが好きだからミシェルには渡さない、と主張出来るようになった。


 彼女が明るい方へと変わることが出来ているのも今世が幸せだからだろう。
 学苑では女生徒に対して素っ気ないオスカーが義妹にだけ甘い笑顔を見せて、特別に大切にしていることは有名な話だ。



( ミカミさんは神様に希望を聞かれて、自分からオスカーになりたいなんて、お願い出来る様なひとじゃなかった、と思っていたけど)


 ロザリンドの言う通り、オスカーが転生者なのだとしたら。
 ホナミにとってオスカーが理想の男性なのだ、とミカミさんは知っていた。
 同級生の私から見たオスカーは、ホナミの理想のオスカーであろう、と懸命に努力をしているみたいだった……けれど。


 今、それを伝えるのは余計なことだ、とアビゲイルはロザリンドに言わなかった。


 誰かに保証されて傷つかない確証を得てから動くのではなく、ロザリンドが自分から望んで動いて、オスカー(おそらくミカミ?) を手に入れることに意味がある、と思えるから。