『ずっとひとりで』と、アビゲイルはさらりと
事も無げに言ったが、実際のその間の彼女の孤独は計り知れない。


 わずか10歳の少女が誰にも打ち明けられない秘密を、7年もひとりで抱えて生きてきたのだ。
 ポッと出のヒロインに奪われてしまう、愛さないと決めていた王太子を愛してしまったのは、その孤独のせいだったのだろうか。


 王城でお会いしたアーノルド王太子殿下を思い出した。
 デビュタントのあの夜、ランドールとのダンスが終われば、コルテス侯爵家の4人は直ぐに帰宅するつもりだった。
 アーノルドとウェズリーが協力すると申し出てくれた。
 あの親切な王太子殿下の優しさに触れて、アビゲイルの孤独は癒されたのだ、と思った。



 アビゲイルが正直に打ち明けてくれたから。
 自分も隠さないで打ち明けよう。  


「確認はしていないのですが、オスカーも転生者だと思います。
 私もオスカーを愛しているから、ミシェルに渡したくないんです」