「基本的に行くところは私が決めるけど、榊くんもしたいことがあったら言ってね」
「いや、それは任せる……。でも俺が相手で本当にいいのか? 満足させられる自信なんてないが」
「大丈夫だよ。一緒に出掛けたりとか、それだけだから。榊くんは私の隣にいてくれれば、それだけでいい」
「俺と出掛けても楽しいか? 話が得意なわけでもないし、つまんない男だし」
「ううん。榊くんがいいの」
俺を見つめる瞳は、なんでそんなにまっすぐなのだろう。
こんなに真正面からだれかに求められたことなんてないから、波打つように感情がざわつき、どんな顔をしたらいいかわからなくなる。
小坂の瞳には、抗えない訴求力が秘められているようだ。
「それに言ったでしょ? 勝負って。私、この1週間で後悔させてみせる。死のうとしたりしたこと。絶対榊くんのこと死なせない」


