ずっと、好きなんだよ。

いつからか夏音がオレを引っ張っていた。


先を行くのはオレだって、


オレが夏音をエスコートをしなきゃって、


そう思っていたのに、


夏音はいつもオレを導いてくれている。


雨粒を称えた青や紫の紫陽花が咲き誇る道を駆け抜けていく。


涼やかな風を切る。


夏に近付いていく。


夏音の背中を追う。


次第に灰色のもやが胸から消えていく...。


はず、だった。


なのに、今は......


例外みたいだ。



「今日の映画ねぇ、この前美玲さんにオススメされて気になってたやつなんだ。だからすっごく楽しみ!あ、そうだ。映画終わったらパフェ食べに行きたいっ!確かね、あの映画館の近くに美味しいお店があって...名前は......」



夏音の話が右から左へとすり抜けていく。


まずいと思って視線を向けると案の定夏音がこちらを見つめていた。



「どうしたの?なんか、今日のれおくん、れおくんらしくないよ」



消えないし、抱えきれない。


話すしかないか。


たとえこの話が長引いて映画に間に合わなくなったとしても、


爆弾を抱えたまま生活することなんて出来ない。


オレは意を決して硬直していた唇を無理やり動かした。



「実は...」