ずっと、好きなんだよ。

気づいたら3時間も入り浸っていた。


美玲さんのアイデアもお話も本当に面白くて光の速度で時間が過ぎていった気がする。


兄弟姉妹がいない私はそういうのに憧れていたから、なんだか本当の姉妹になれたみたいで、泡沫の夢だけれど、嬉しかった。


お店から出ると、しとしとと降る優しい雨がアスファルトを鳴らしていた。


街灯の淡い光が水溜まりに映ってユラユラ揺れている。



「雨見ると思い出すんだ」



美玲さんがぽつりと言の葉を落とした。



「高2のレクの時、れお、迷子になったでしょ?バイト中にあたしのとこに連絡来てさぁ学校に慌てて迎えに行って、先生たちに頭下げて...。帰りに雨に打たれて寒いだろうなって思ったから、ラーメン屋に寄ったわけ。そこで聞いたの。誰がこんなバカなヤツ見つけてくれたの?って。そしたら...奈和だって。朽木奈和だって言って。あぁ、あの子かぁってなったんだよね。小学生の頃、何回も迷子のれおの手を引いてくれた子だって、すぐ思い出した」



スンッと一瞬、雨の音が消えた気がした。


甦った気がした。


あの日、あの時、あの場所。


雨の匂い、


彼の姿、


腕から伝わってきた熱、


私が感じた鼓動、


全部...


また感じてる。



「ねぇ、奈和ちゃん」



コツコツと美玲さんのヒールの音が近付く。


鼓動が早鐘を打つ。



「今でも...好き?」