オレは...決心した。


駅へ向かう人の間をぬって彼女のところに向かった。



「すみません、あの...オレ香西玲音と申します。そちらの森下由紀さんとは高校の同級生で、少し用があるのですが...」



オレの名前が出た瞬間、フラフラだった彼女が突如こちらに鋭い視線を向けた。



「えっと...由紀ちゃん?」


「光介は黙ってて」


「あっ、はい」



オレは息を飲んだ。


あの日と同じ予感がした。



「今さらなんなのよ、このっ...バカ香西っ!」



...これだ。


この言葉だ。


言われて気づくんだ。


前も...そうだった。


曖昧な心に輪郭を与える罵声...。


まさかまた言わせることになるとはな。


ごめん。


ほんと、ごめん。


森下にも何度も迷惑をかけている。


でも、今度こそ、


進むから。


だから...



「森下、頼む。朽木の...連絡先を教えてくれ」