ずっと、好きなんだよ。

卒業式の後。


誰も来ない屋上。


始まりと終わりの象徴を渡し終えたオレは全ての感情を振り払うように笑って...ドアを締めた。


そのまま降りていこうとした。


夏音のところに行けばもっと笑える。


もっともっと楽しくなる。


...忘れる。


ぐっちゃぐっちゃで、きったない感情なんて忘れる。


そう思って右足を出したのに...


聞こえてきちまったんだ。


泣き叫ぶようなアイツの...


朽木奈和の声が。


朽木の声が大きくなればなるほどに


唇を噛む力が強くなって


握り締めた拳が痛くなって


足から力が抜けて


膝を抱えて


声を殺して


泣くしかなかった。



...ごめん。


ごめん、な。


ごめん。


ごめん。


ほんと、ごめん。



ごめんしか出てこなかった。


クリスマスの日、


ちゃんと終われたはずなのに、


終わらせたはずだったのに、


終われていなかった。


オレも


朽木も。



その後の記憶はほとんどない。


気が付いた時にはいつにも増してハイテンションでマイクを握り締めて熱唱していた。


隣には夏音がいて、


太陽の光を受けてキラキラと輝く水面のようで、思わず目を細めてしまうくらいに眩しい笑顔を浮かべていた。


オレには夏音がいたから、あの日を、あの痛みも悲しみも乗り越えられたけど、朽木は...どうだったんだ?


あの後、朽木は...終われたのか?


忘れられたのか。