閉園時間まで1時間を切っていたため、大急ぎでイルミネーションのところまで走っていった。


3年前、遠慮して遠ざかろうとしていた奈和を抱き寄せたのを今でも覚えてる。


あの時も本当は思っていたんだろう。


隣にいて欲しいって。


素直になれれば、


もっと早く気づいていれば...。


そんな風に思わなくもないが、


今隣で笑う奈和を見ていたら、


何もかもどうでも良くなった。


色んなことがあったけど、


今こうして隣にいてくれるのなら、


これ以上のことはない。


やっぱり、幸せだ。



「あら?もしかして、あの時の...」



オレがスマホを出して写真を撮ろうとしていると、3年前にも会ったあのご夫婦に声を掛けられた。



「お久しぶりです。また会えるなんて奇遇ですね」


「うふふ。この世に偶然はないって言うのよ。あるのは、必然だけ。また会えたのも何かのご縁ね。神の導きかしら?」


「あの、良ければまた写真撮りましょうか?」


「あらいいの?ありがとう」


「いえいえ」



女性同士で盛り上がり、なぜかまた写真撮影会の流れになってしまう。



「じゃあ、写真は玲音くんよろしくね。私手ブレ酷いんだよ。写真撮る才能ないのかも」


「んだよ、それ。高校ん時一眼で写真撮ってたくせに」


「あらそうなの?すごいわね~。なら、是非とも...って、お名前聞いてなかった。もしよろしければお名前伺っても良いかしら?」


「私は朽木奈和って言います」


「奈和ちゃん?あらぁ、可愛らしい名前ねぇ。ねぇ、あなた?」



3年前も終始無言だった旦那さんが表情を変えないまま、うんと頷いた。


女性陣、というよりはおばさまの弾丸トークに着いていけないまま撮影会は進み、気がついたら、あっという間に閉園時間になってしまったのだった。