ーー私と付き合って下さい。


そう言おうとしたら、スッと彼の右手が伸びてきて私の頬に触れた。


あったかい...。


すっごく、あったかい。


優しい温度に、また涙腺が緩んでしまう。


視界がぼやける。


見ていたいって思うのに、歪んでいく。


ダメ、だな...。


近くにいるって分かると弱くなる。


私、やっぱり、キミに弱い。


その優しさ、


その温もりに、


私は甘えたくなってしまう。


こんな感情にさせるのは、キミだけだ。


やっぱり、キミだけ、なんだよ。


キミが笑う。


私の落とした流星を掬ってくれる。



「奈和」


「...ん?」


「いっぱい...ほんと、抱えきれないくらいたくさん伝えたいことがある。でも今は1つだけ言わせてほしい」



空から純白の花が舞い降りてくる。


ふわふわと優しく、肩に降りて溶けていく。


空気は冷たい。


けど、温かい。


こんなにも近くキミを感じられているから


私は今温かいんだ。


私は見つめた。


彼も私を見つめてる。


やっと、交わる。



「奈和はオレの...一番大切な人だ。オレは奈和のことが大好きだ」


「...うん。ありがとう」



その瞬間、


私は世界で一番、


幸せな女の子になった。


私がようやく


自分史の


ヒロインになれた。