ずっと、好きなんだよ。

考えていたら、良い匂いが鼻を刺激した。


オレの大好物の香りに似ていたから考え事なんてぶっとんでしまった。


オレは思わず声を上げた。



「朽木、もしや...」


「あ、うん」



朽木は簡易的な小さなテーブルの真ん中にトレーごと置いた。


湯気で部屋中がオレの大好きな香りで満たされた。



「うどんじゃん」


「しかも讃岐うどんだよ。まぁ、冷凍のやつだけど。まさか、嫌いになったりしてないよね?」


「嫌いになるわけねぇだろ。死ぬほど好きなんだから」


「ふふっ。命がけの恋、いや愛だね」


「わ、笑うな、バカ」



...懐かしい。


変わってないな。


朽木はやっぱ、面白い。


それと...ありがと。


オレの好物、ちゃん覚えててくれてありがとな。



「ツッコミはいいから、早く食べな。ほら、冷めちゃうよ」


「分かった。んじゃあ、頂きます」



朽木に促され、オレは讃岐うどんを食べ始めた。


何度もふぅふぅしてるオレを見てクスクス笑っている朽木を軽く睨むとずるずると啜った。



「うま...」


「なら良かった。まぁ、お店のには敵わないと思うけど」



オレは大きく首を横に振った。



「あそこのより旨い。なんだろうな...。良く分かんないけど、旨い」



出汁も市販の顆粒のだろうし、


一級品の醤油を使っているわけでもない。


うどんに関しては冷凍だし。


けど、なぜか旨いんだ。



「ふふ。きっと風邪で味覚やられてるからそう感じるだけだよ。絶対専門店の方が美味しいよ」


「かもな」


「うわ、ひど。上げて下げられた」


「なんだよ、自分で言っといて」


「ちょっと傷つきました」


「あっそ」


「やっぱりひど」


「酷くてけっこう。コケコッコー」



なんて言ったけど、


本当に美味しかった。


なんなら、今までの人生の中で5本指に入るくらい旨いと思った。


朽木特製うどんに舌鼓を打ち、半ば感動しかけているオレをよそに朽木はお腹を抱えて笑い出した。



「ふふっ。ふふ...あははっ。もう、お腹痛い...。あははっ。あはははっ...!」


「何がそんな面白いんだよ?ゲホッゲホッ。ほんと変だよな、朽木は...。ゲホッゲホッ」