ずっと、好きなんだよ。

オレは自分の部屋に戻り、ベッドに横になった。


軽く寝ようと思っても、やはり1つ屋根の下に家族でもカノジョでもない女性がいるというこの状況が胸を騒がせて寝るどころではない。


薄い壁の向こうからレンチンの音や何かを切る音が聞こえてくる。


母さんが退院してからは母さんが積極的に台所に立つようになって、オレの出番はめっきりなくなった。


その代わり、家にいる時はこうして料理する音に耳を傾けるようになった。


母さんのリズムとは違う、アイツのリズム。


不思議と落ち着いてきた。


朽木が家に居て夕飯を作って待っていてくれる。


きっと、その幸せを受け取るのはあの店長なんだろうな。


......。



オレではない、


別の、誰か...。


その誰かと朽木は結ばれるはずなのに、今日ここに来てもらってるのは申し訳ない。


夕飯をご馳走になったら、朽木を帰そう。


何度思考を巡らせてもこの状況は...良くない。


オレの側にアイツが居てはならないんだ。


こうして迷惑をかけたり、


また昔みたいに傷つけたり...


オレならやりかねない。


なんでもはいはい聴いてくれる、ある意味素直なアイツだからこそ、オレは変に気を許して余計なことまで口にしてしまったりする。


それがアイツにとってトゲだったとしたら、オレはまたアイツの傷を増やしてしまう。


本当に...ごめん。


やっぱり、ごめん。


心の中で謝っていると、足音が近づいてきた。


朽木が...来る。


分かっていても、胸が苦しい。




ーーコンコン。



「夕飯持って来たよ」



「くち...ゲホッゲホッ」



部屋の前に置いといてくれ。


そう言いかけて咳込んだ。


最後まで言えなかったから、朽木はゆっくりと扉を開け、中に入ってきてしまった。


オレの気も知らずに。