今からでも遅くない早く教室に逃げなければ。

「梨沙ちゃん、行こう、
行こうよっ。」

「心千、今から焦ってももう間に合わないよー。
ふっふっ。」

「笑わないでっ、わたしはすっごく焦ってるの。」

「えー。あんなかっこいい彼氏いいじゃん。」

「彼氏じゃない。」

「へぇー。そうなんだぁ。」

「ひゃっ。」

楓惟だ。すれ違った瞬間小さな声で話しかけられた。

「はー。今日も朝からお熱いですねー。」

そう楽しんでる梨沙ちゃん。

「楽しまないでっ。

それより周りの人たちに気づかれてないかな」

「大丈夫でしょー。

周りはあいつらを見るのに夢中で聞いてないよー。」