腰に手を当てた彼女は、近くにいた居候のノークの目玉を睨みつけた。


「食べたのね?」


なんとも怖い顔ーー猫を睨みつけるトラの形相だ。

しかしまあ無理もないだろう。

「食べ物の恨みは恐ろしい」と昔から言うではないか。


「ニャンと!?食べた?何を……でありますか?」

「ア・イ・ス!最高級バニラ!冷蔵庫のコロッケとシチューの間にあった奴!」

「は、はて……なんのことやら……全くもって身に覚えがないであります」


しどろもどろで答えるノーク。

本当に見に覚えなどないのだが、心愛にこの形相で睨まれては冷や汗が止まらない。


「とぼけようってわけ?」

「は?」


弁解する暇もなく、彼は首根っこを掴まれていた。

本当に食べ物の恨みは恐ろしい。


「本当にアイスなんか知らな……」

「しらばっくれようってわけ?いい度胸じゃない」


弁解する間も無く、彼女のキッツイお仕置き。

……いや、ほんっっとに食べ物の恨みというやつは恐ろしい。


「いい?今度つまみ食いしたら、ただじゃおかないわよ!」


ふぅっと一息ついた心愛は「シャワーでも浴びよっと」とか言いながら、ドスドスと足音を荒くして去っていく。


「うっ、ううっ……わ、我輩は何を……?」


そこには殴られた痕が残った、アニマル星人が寝転んでいた。