「……んで?何がどうしたってのよ?」

 風呂上がり。リビングのソファーに腰を下ろして濡れた髪をゴシゴシやりながら、心愛はジロっとノークを睨みつけた。あれだけ痛め付けたのに、なんだか知らないが「楽しくて仕方がない」という顔つきでこちらを見上げている。

「ですから、我輩の無実の罪を晴らすべく真犯人の怪人を逮捕し、心愛のアイスを盗んだと白状させるのであります。そのためにも、我々は早急に少年探偵団を結成して……」
(またわけのわからんことを……)

 こいつの企みなんて、十中八九ろくでもないことだと分かっていた。これまでの経験から分かりきっている。それなのに……。ノークの意見に頷くネールとノアちゃん、それにマルド……そこまではいいけど、どうして尊や姫菜ちゃんまで?

「あんたたちまでこいつに乗せられてるわけ?」
「だって面白そうじゃない、少年探偵団なんてさ。地球侵略とは関係なさそうだし」
「私は……本間くんのお手伝いをしようと……」
「ふうん……」
(確かにママは仕事で忙しくて泊まり続きだし、となると夏休みなのにどこへも行けないわけだし……退屈凌ぎに本格的な少年探偵ごっこってのも悪くないかもね……)
「しっかたないわね〜。あたしはまだあんたが犯人だと思ってるけど、まあ一応付き合ってあげようかしら」
「同意したな。じゃ、これを受け取りな」

 マルドがポンっと心愛に手渡したのは、「BGD」と書かれたワッペンだった。よく見るとノーク達だけでなく、尊や姫菜の胸にも同じものが貼られている。

「ボーイズ&ガールズ・ディテクティブの略だって。少年少女探偵団ってことだね」
「へぇ。こういう遊びになると凝るわよね、あんた達って」

 彼女がワッペンをつけたのを確認しつつ、ニヤニヤと笑うノークとマルド。

「隊長さんよ、これで結成していいんだな?」
「おうよ!」

 ぐっと親指を突き立てる。