「酷すぎる!酷すぎるよぉぉぉぉぉ!」

 ここは本間家の地下にあるアニマル軍秘密基地。隊員が座る場所と広い床に、GPSで撮影した映像を映し出す大きなスクリーンが椅子の前に設置してある。

「証拠もなしにアイス泥棒呼ばわりだよ!?こんなことが許されていいの?人権も何もあったもんじゃないよ!?あんまりだぁぁ!」

 言われのない暴力を振るわれた猫が一匹、悔し涙に暮れていた。

「可哀想なお兄さま……。てゆーか免罪事件?」

 よよと泣き崩れる満身創痍のノーク少尉を膝の上で慰めているのは、どう見ても高校生にしか見えない純粋無垢な女の子、モルゴ星人のノアちゃんである。

「災難でしたね、少尉さん。でも僕は食べてないですよぅ。ここッチのアイスだって知ってて食べるわけないです」

 ちょろっと生えた小さな耳に幼さが残るアニマル星人が彼の隣で言った。心配そうな顔をしながらも、彼ネール上等兵の心は深い深い嫉妬に満ち溢れている。

(どうしてですっ!?なんで少尉さんは、あんな小娘(ノア)の膝枕で泣いてるんですか!?僕の胸で泣いてくれればいいのにっ!ゴラァ!!この女、許さん!許さんぞぉ!!)

「安心するであります。ネール上等兵を疑ってなどいないであります」
「ほんとですか!?」

 キャッキャと無邪気に喜ぶネール。それに引き換え、赤と黄色の髪たちは全く気にしていなかった。