ある暖かな日に私と彼は同じ日の朝と夕方に萎れた。
それからのこと。


彼と出会った次の春、私はまだ蕾の状態だった。

彼の事は今でもはっきりと覚えている。


ご主人は、今年は趣向をかえて、植木鉢からプランターに変えた。ワタシものびのび根を伸ばせて快適に育っていた。

今日もご主人がお水をくれる時間。
ご主人が、ふとなにかに気がついた。
ベランダの端の方に何か落ちている。

蜘蛛の巣に引っかかったそれは、種のようだった。落下傘のような綿毛が着いており、何処かから飛んできたのであろう。

ご主人は私から少し離れた土の上にその種を蒔いた。

お隣さんができて私も少し嬉しかった。

どんな人がうまれてくるのか楽しみでもあった。

お日様が顔を出し、お月様に交代してを数回繰り返した時、その種は芽を出した。
私は語りかけた。
「おはよう。初めまして。
外の世界はどうかな?」

二葉のその子は黙っていた。

私は無視をされたと思って少しムッとしていた。
もうあまり話しかけないでおこう…。
けれど、こんなひととこれからお隣でやって行けるだろうか…少し不安だった。

しばらくお互い黙ったままだったけど順調に育っていった。