唇は、思っていたよりかさついていた。 グロス、ルージュ キスをするたび舐めるこっちの身にもなってみろ、突き付けたこともあった。 ハッと、眼を瞠って。 徐々に目尻に溜る涙を見て、満足する俺も俺だったけれど。 ただ、今は。 それごと舐めとってしまいたいくらいに。 俺を煽るように舐めとる舌に、翻弄される。 声も、唇も、その妖艶な舌さえも、全て。 俺のもの。