「はぁ、」



そんな深いため息つかないでくれる?

何かを問題にして、何かを考えて、何かを解決したらしい翔太はため息をついた。

何がしたいのよ、あたしは家に帰りたいんだから。
まだ10分も歩いてないんだからこんなところで疲れさせないでほしいわ。

………よく考えたら翔太の相手をする必要なんてないんじゃないかしら。



「何もないなら行くわよ」



ズブズブとブーツのヒールが埋まりながらも足を動かし、道のり長い先へと進む。



「だから何よ」



つもりだったのに、スーツケースを持っていない方の手を捕まれ振り返ざるをえない。


凄みを利かして睨んでいるのに全く効果がない様子にまた腹が立った。