「どうして、」



振り返って翔太の顔を見上げる。
振り返りたくない、なんて弱気の顔のままじゃきっと翔太に飲み込まれてしまう。
わかってたから、挑戦的に、意思をを強く持って。

どうして、なんて弱気の発言をしたあとに、キッと睨みつけた。
けど、何も言わせない翔太の次の言葉にあたしの意思は簡単に崩れ去ってしまうの。



「真知、来い」

「痛い、痛いってば」



あたしの腕を掴んで引っ張る翔太に反抗して、腕を取り戻そうと一応の抵抗はしてみるものの。


それなりに人通りのあるマンション近くでこんな目立つことしたくない、って思いにどうしても形振り構って、とはいかない。

女は翔太の顔に、スタイルにとくぎづけだし、他にもあたしを連れ去ろうとするこの光景にくぎづけだ。



「真知、」

「わかったわよ、ついていくわよ」



同じように気付いた翔太が目立ちたくないだろ、と眼で訴えられれば仕方ない。
あたしだって目立ちたくはない。