お酒、お酒飲みたい。
疲れた身体、回らない頭。

急遽入った仕事をこなして、お酒の力で全てを忘れてしまいたい。
冷蔵庫に駆け寄って、開けても見慣れた缶ビールは見当たらない。



「ビール、ないわ……」



適当につぶされて転がった、空き缶は数個、キッチンに見えるけれど。
昨日、あんなに飲んだかしら。

雪崩れるように冷蔵庫に向かったことは思い出すけれど。


忘れなくてもいいことを忘れて、肝心の忘れたいことを忘れられない。
知りたくないことを知って、忘れられない。


翔太……。