「言ってねえよ、……真知?」
軋んだ板に驚いたような翔太の声がした。
聞かれてはいけない内容だった、と言わんばかりの顔にあたしは眼を伏せて答えた。
「何も、聞いてないわ」
「なら、構わねえ」
「真知ちゃん、ごはん食べていくでしょう?」
「いただき、ます」
あたしと翔太の間に漂う不穏な空気を払拭するように弾んだ声を出したおばさんは台所に向かった。
逃げられたのかしら。
あたしってタイミングが悪すぎるわ。
2人残して行かないでほしかったわ。
「本当に聞いてないわ。聞こえなかったのよ」
「俺様はまだ何も言ってねえ」
言い訳みたいなあたしの口調に突き放すような言葉。
あたし、聞いてるって言ってるみたいだわ。
でも、本当に聞いてないの。
ふん、と鼻を鳴らしてあたしに一瞥をくれて、また、部屋から翔太は出ていって1人になる。
その後姿を見ると切なくなる。
……なんであたしを連れて来たのかしら。
軋んだ板に驚いたような翔太の声がした。
聞かれてはいけない内容だった、と言わんばかりの顔にあたしは眼を伏せて答えた。
「何も、聞いてないわ」
「なら、構わねえ」
「真知ちゃん、ごはん食べていくでしょう?」
「いただき、ます」
あたしと翔太の間に漂う不穏な空気を払拭するように弾んだ声を出したおばさんは台所に向かった。
逃げられたのかしら。
あたしってタイミングが悪すぎるわ。
2人残して行かないでほしかったわ。
「本当に聞いてないわ。聞こえなかったのよ」
「俺様はまだ何も言ってねえ」
言い訳みたいなあたしの口調に突き放すような言葉。
あたし、聞いてるって言ってるみたいだわ。
でも、本当に聞いてないの。
ふん、と鼻を鳴らしてあたしに一瞥をくれて、また、部屋から翔太は出ていって1人になる。
その後姿を見ると切なくなる。
……なんであたしを連れて来たのかしら。

