結婚なんて、許婚なんて。

周囲が言ってるだけだわ。
あたしは、結婚は1番だいすきな人と、1番だいすきだと言ってくれる人とがいい。


あたしをアクセサリーにするような男とは、絶対……。
気持ちは決まっているのにいざとなると翔太の眼に怯えてなにもできない。


考え事をしていたせいでおばさんの話を聞き逃していた。



「……ぶ?大丈夫?真知ちゃん」

「あ、はい。すいません、ぼーっとしちゃって」

「あら寝不足?昨日はあの子と一緒だったって聞いたわよ」



からかうような言葉にも力無く笑って答えるしか今のあたしには出来なかった。