「なぁ、翔太。お前どうすんの」

「どうすっかな」

「お前んとこ、農家だっけ?」

「いや、あれは趣味」



真知の家は確実に農家と言える。それに比べると俺の家はじーさんばーさんが道楽でしている、ちょっと規模の大きい自家菜園のようなもの。


この高校に家が農家、というのはほとんどいない。
ここは住宅街もあって、山中にあった閉校になった母校とは大違いだ。


田舎者を見る目で俺を見るサラリーマン家庭の同級生には顔を見て話してやる義理はない。
配られた進路調査に目を落として全体を通してみる。

第3希望まで書ける表がでかでかと中央にあって、目を引く。


けれど、高校2年だというのに、進路調査を出してくれるなと思う。

本当に、どうすっかな。