マーメイド・セレナーデ

あれもこれも試着して、これにするよと決めた。



「ねえ真知ちゃんはいつ上がり?」

「終わりまで……」

「じゃあその時間にまた来るよ、一緒ご飯食べよう」



系統の違うお店であたしがいるからという理由で買ってもらっただけに断りにくい。

一つ頷くとよかった、と安堵した声が耳に届いてまたびくりと肩が跳ねた。


今の声は、本当に似ていた。
似すぎていて鳥肌が立つくらいに。

あいつが、よかった、と安堵する声を聞いたことはないのだけど、もし、言うのであればきっとあんなふうに言うに違いない。


レジで会計を済ませてまた後でと手を振る鉄平さんを見送った。



「格好いい子だね?香坂さんの知り合い?」

「知り合い、ってほどでもないんですけど……」



チーフのいう格好いいの基準はあたしには満たされないけれど、あの声にあたしは惑わされてしまうの。