その瞬間耳を劈かんばかりの音に会場が揺れたんじゃないかって思った。
足元もおぼつかないで飛び上がらんばかりに驚いた。


翔太やモデルさんのようにこういう舞台に慣れてないのよ、あたしは。



「休み、取れよ」



うろたえるあたしをよそにさっきとは打って変わって笑顔の翔太が、いつもの口調で話す。
全然違う立場って思うけれど、その口調だけはいつもリビングのソファーに座ってる翔太みたい。

だけどどう反応して言いのかわからないくてついつい憎まれ口を叩いちゃう。



「あたしより先に着せるなんて」

「ばかだな、お前」



両手で受け取った花束を片手に持ち直して、えっと思う間に引き寄せられてた。


一斉にフラッシュがたかれたような気がするんだけど。

でも黙って翔太の想いを全身で受け止めた。



花の香りと、翔太の匂いに体温。